多摩川は東京都と神奈川県の境を流れる全長138kmの河川で、その河川敷には整備された53kmのランニングロードが広がっています。「たまリバー50キロ」として知られるこのコースは、羽村市の羽村堰から大田区の大師橋までの長大なコースとなっています。都心に近いながらも自然を感じられる景観、信号がほとんどなく連続して走れる環境から、ランナーに非常に人気のあるコースです。年間を通して多くのランナーやサイクリストが行き交う、東京を代表するランニングスポットの一つとなっています。

多摩川ジョギングコースの全長と特徴は?どのエリアが初心者におすすめ?
多摩川ジョギングコースは、羽村堰(0km/53kmポイント)から大師橋(53km/0kmポイント)までの全長約53kmの広大なコースです。さらに、大師橋から羽田空港国際線ターミナル付近にある多摩川0基m水準点まで約2.6kmを加えると、全長は55.6kmにも及びます。
このコースの最大の特徴は、ほぼ連続して舗装された専用道を走れることです。一部区間では一般道を走る必要がありますが、大部分はランニング/サイクリング専用道となっています。また、多摩川の左岸(東京側)と右岸(神奈川・川崎側)をうまく組み合わせることで、一般道を避けて快適に走ることができます。
初心者におすすめのエリアは以下の3つです:
- 二子玉川エリア(東急田園都市線二子玉川駅周辺):アクセスが良く、周辺施設も充実しています。二子玉川から多摩水道橋までの約5kmは平坦で走りやすく、景観も良好です。
- 丸子橋〜古市場エリア:JR南武線の駅からのアクセスが良く、平坦な土・砂利コースが広がっています。1km毎に距離表示があり、初心者でも走りやすいコースです。
- 立川〜日野橋エリア:多摩都市モノレール柴崎体育館駅からすぐに立日橋があり、そこから日野橋までの約1.8kmは舗装された専用道で、ループ状に走ることもできます。
初心者は、いきなり長距離に挑戦するのではなく、これらのエリアで5〜10kmのランニングから始めることをおすすめします。どのエリアも景色が良く、四季折々の自然を楽しみながら走ることができるため、ランニングの楽しさを実感できるでしょう。
多摩川ジョギングコースのアクセスポイントは?最寄り駅や駐車場情報について
多摩川ジョギングコースは、多くの鉄道路線からアクセスできるのが大きな魅力です。主要なアクセスポイントと最寄り駅をご紹介します。
主要アクセスポイント(上流から下流順)
- 羽村堰(スタート地点):JR青梅線羽村駅から約800m
- 福生エリア:JR青梅線福生駅から永田橋北詰まで約900m
- 立川エリア:多摩都市モノレール柴崎体育館駅から立日橋北詰まで約250m
- 日野エリア:JR中央線日野駅から立日橋南詰めまで約1.5km
- 府中・多摩エリア:
- 京王線中河原駅から関戸橋北詰まで約500m
- 京王線聖蹟桜ヶ丘駅から関戸橋南詰まで約800m
- 是政・稲城エリア:
- 西武多摩川線是政駅から是政橋北詰まで約150m
- JR南武線南多摩駅から是政橋南詰まで約250m
- 調布エリア:京王相模原線京王多摩川駅から最寄りの土手まで約300m
- 世田谷・狛江エリア:
- 小田急線和泉多摩川駅から多摩水道橋北詰まで約300m
- 小田急線、JR南武線登戸駅から多摩水道橋南詰まで約300m
- 二子玉川エリア:
- 東急田園都市線二子玉川駅から二子橋北詰まで約50m
- 東急田園都市線二子新地駅から二子橋南詰まで約50m
- 川崎・丸子エリア:
- 東急多摩川線多摩川駅から丸子橋北詰まで約300m
- 東急東横線新丸子駅から丸子橋南詰まで約500m
- 六郷エリア:京急本線六郷土手駅から六郷橋北詰まで約100m
- 大師橋(ゴール地点):京急空港線大鳥居駅から約800m
- 羽田空港エリア(0km水準点):東京モノレール国際線ターミナル駅から約450m
駐車場情報
多摩川沿いには駐車場を備えた公園が多数あります。それらを利用すれば、車でのアクセスも便利です。
駐車場のある主な公園(無料駐車場は●印):
- 多摩川中央公園(羽村市)●
- 福生南公園(福生市)●
- くじら運動公園(昭島市)●
- 郷土の森公園(府中市)●
- 二子玉川緑地運動場/兵庫島公園(世田谷区)●(ただし運動場利用者優先)
- 等々力緑地(川崎市右岸)
- 多摩川玉川公園(大田区)
- 多摩川ガス橋緑地(大田区)●
- 多摩川緑地(大田区・六郷橋の西側)●
これらの公園を起点に走れば、着替えやタオルなどの荷物を車に置いておけるため便利です。また、多くの公園では信号待ちや道路の横断なしにランニングコースへアクセスできます。
電車と公園を組み合わせれば、「特定区間を走った後に電車で帰る」「電車でアクセスして特定区間を走る」「公園を起点にループ状のコースを走る」など、様々な走行プランを立てることができます。
多摩川ジョギングコースを走る際の注意点やマナーは?自転車との共存方法
多摩川ジョギングコースは、ランナーだけでなく歩行者やサイクリストも多く利用する共有スペースです。安全で快適に利用するためには、いくつかの注意点とマナーを守ることが大切です。
基本的な注意点
- 混雑状況の把握:特に混雑する区間(六郷橋〜大師橋、四谷橋〜是政橋、ガス橋〜六郷橋など)では、より注意が必要です。
- 天候や季節に応じた対策:
- 雨天後:特に未舗装区間(丸子橋〜二子橋間など)では、多摩川の増水により路面がぬかるんでいることがあります。
- 夏季:日差しが強いエリアが多いので、熱中症対策が必須です。
- 初夏から秋:夕方以降は虫が多く飛んでいるため、サングラスやゴーグルが役立ちます。
- 一般道への注意:一部区間(日野橋先の立川公園西側から石田大橋手前、二子玉川駅手前の兵庫橋から多摩堤通りまで)では一般道を走る必要があります。
- コース状況の変化:工事や河川の状況により、コースが変更になっている場合があります。
自転車との共存のためのマナー
多摩川は「多摩サイ(多摩川サイクリングロード)」として自転車愛好家にも人気のコースです。自転車との接触事故を防ぐために以下の点に注意しましょう:
- 進行方向の意識:右側走行を基本とし、左側からの自転車に注意しましょう。
- 後方確認:進路変更時や追い越し時には、後方から来る自転車に注意が必要です。
- イヤホン使用の注意:周囲の音が聞こえない状態でのランニングは危険です。特に自転車のベルや声かけに気づけない可能性があります。
- 集団走行時の配慮:グループでのランニング時は横に広がりすぎないよう注意しましょう。特に混雑している区間では一列で走るのが望ましいです。
歩行者への配慮
ランナーは歩行者よりも速く移動するため、歩行者への配慮も必要です:
- 追い越し時の声かけ:歩行者を追い越す際は「すみません」と一言かけ、会釈しながら追い越すようにしましょう。
- 適切な距離の確保:歩行者との接触を避けるため、十分な距離を保って追い越しましょう。
- 歩行者優先の意識:ルール上では歩行者>ランナー>自転車の順で立場が弱くなります。歩行者の通行を妨げないよう心がけましょう。
多摩川ジョギングコースを全ての人が気持ちよく利用できるよう、互いに思いやりを持ったマナーの実践が大切です。自己の安全確保と同時に、他者への配慮を忘れないようにしましょう。
多摩川ジョギングコース周辺の施設は?トイレや給水ポイント、ランステ情報
多摩川ジョギングコースを快適に走るためには、トイレや給水ポイント、休憩施設などの情報が欠かせません。特にロングランを予定している場合は、事前に確認しておくとよいでしょう。
トイレ情報
多摩川沿いには公園が多数あり、そのほとんどにトイレが設置されています。主なトイレ設置場所は以下の通りです:
- 多摩川中央公園(福生市)
- 福生南公園(福生市)
- くじら運動公園(昭島市)
- 立川公園(立川市)
- 郷土の森公園(府中市)
- 宇奈根公園〜多摩川二子橋公園(世田谷区)
- 等々力緑地(川崎市)
- 多摩川ガス橋緑地(大田区)
- 多摩川緑地(大田区)
- 多摩川六郷橋緑地(大田区)
- 多摩川大師橋緑地(大田区)
ただし、多摩水道橋から丸子橋の区間の左岸では、二子玉川付近を除いてトイレ/水飲み場が少ないため注意が必要です。
給水ポイント・自動販売機
コース上で確認できる飲料水の自動販売機は以下の場所にあります:
- 福生南公園内(睦橋東詰)
- JR八高線鉄橋北詰
- 中央高速多摩川橋梁北詰
- 多摩水道橋の下流(和泉自動車教習所の下流)
- 東海道新幹線鉄橋の下流(東京多摩川ゴルフ練習場内)
- 六郷橋〜大師橋間のコース沿い(多数あり)
ただし、自販機の数は限られているため、特に長距離を走る場合は給水ボトルの携行をおすすめします。
コンビニエンスストア
多摩川沿いのコンビニは多くありませんが、以下の場所で確認できます:
- 東名高速多摩川橋梁の下流(右岸):セブンイレブン
- 新二子橋の上流(右岸):ローソン
- 川崎側の丸子橋から多摩川原橋の間:比較的コンビニが多い
川崎側(右岸)の方が比較的コンビニが多い傾向があります。補給が必要な場合は、川崎側を走るコース選びを検討するとよいでしょう。
ランニングステーション(ランステ)
多摩川周辺には、シャワーやロッカーを利用できるランニングステーションがいくつかあります:
- BLUE 多摩川アウトドアフィットネスクラブ
- 場所:東京都狛江市東和泉4-11-21
- アクセス:小田急線和泉多摩川駅から徒歩2分
- 料金:シャワー・ロッカー利用 550円
- 特徴:多摩川目の前、駅近で便利
- Try-a+(トライエープラス)
- 場所:神奈川県川崎市中原区上丸子八幡町599-1 2F
- アクセス:東急東横線多摩川駅から徒歩10分(丸子橋川崎側)
- 料金:700円
- 特徴:コーヒーを楽しめるスペースあり、トライアスロン関連のスクールも開催
- 湯楽の里 国立
- 場所:東京都国立市泉3丁目29-11「フレスポ国立南」内
- アクセス:JR南武線矢川駅、多摩モノレール万願寺駅から徒歩約15分
- 料金:870円(平日)、980円(土休日等)
- 特徴:温泉施設でリラックスでき、レストランも併設
これらの施設を利用すれば、ランニング後にシャワーを浴びてさっぱりしたり、仲間と打ち上げをしたりすることができます。特に長距離走後の疲労回復に役立つでしょう。
ロングランを計画している場合は、エナジージェルやドリンクボトルを収納できるランニング用バックパックの携行をおすすめします。トイレや給水ポイントが少ない区間もあるため、自己完結型の装備で安心して走れるようにしましょう。
多摩川ジョギングコースをより楽しむコツは?季節ごとの見どころや組み合わせコース
多摩川ジョギングコースは単に走るだけでなく、様々な楽しみ方があります。季節ごとの見どころや他のコースとの組み合わせ、さらには周辺観光スポットとの連携など、ランニングをより充実させるコツをご紹介します。
季節ごとの見どころ
春(3月〜5月)
- 桜:羽村堰周辺や、二子玉川、等々力緑地などで桜並木が美しい
- 新緑:5月頃は河川敷の新緑が鮮やかで爽やかな景色を楽しめる
夏(6月〜8月)
- 花火大会:7月後半の週末には沿道各地で花火大会が開催され、走りながら次々と花火を見ることができる
- 夕暮れ時の景色:暑い季節は夕方以降のランがおすすめ。夕焼けに染まる多摩川の風景が格別
秋(9月〜11月)
- 紅葉:等々力緑地や郷土の森公園などで紅葉が美しい
- ススキ:河川敷に広がるススキの穂が風に揺れる風景が心地よい
冬(12月〜2月)
- 富士山の眺望:晴れた日には多摩川沿いから富士山を望むことができる日もある
- 渡り鳥:冬季は多摩川に多くの水鳥が飛来し、野鳥観察も楽しめる
組み合わせコース
- 浅川ランニングコースとの組み合わせ
- 四谷橋の上流で多摩川と浅川が合流
- 関戸橋や四谷橋から浅川コースへアクセス可能
- 浅川コースのスタート地点(陵南橋/JR高尾駅)から関戸橋までは約21km
- 特に多摩川左岸の立日橋〜中央高速橋梁間の一般道区間を浅川経由で迂回するルートがおすすめ
- ループコース
- 信号なしの専用道ループ:
- 四谷橋〜関戸橋(府中市・多摩市):1周約4km
- 立日橋〜日野橋(立川市・日野市):1周約1.8km
- 一部一般道を含むループ:
- 多摩水道橋〜二子橋(世田谷区・狛江市・川崎市):1周約12.3km
- 丸子橋〜ガス橋(大田区・川崎市):1周約6km
- 信号なしの専用道ループ:
- 公園ランとの組み合わせ
- 二子玉川緑地(世田谷区):多摩川沿いで最大規模の公園
- 郷土の森公園(府中市):周回コースとしても利用可能
- 等々力緑地(川崎市):アップダウンのあるコースで変化をつけられる
- 多摩川緑地(大田区):広々とした河川敷で走れる
走りながら楽しめる見どころ
- 橋梁の景観
- 古い橋のベスト3:二子橋、関戸橋、多摩川大橋
- 一番新しい橋:是政橋(府中市〜稲城市)
- 鉄道橋の通過電車
- 多摩川には12の鉄道橋と2つのモノレールがある
- JR中央線、東海道新幹線、京王線など様々な路線の電車を見られる
- 周辺観光スポット
- 滝山城址(八王子市):戦国時代に関東随一の規模を誇った城跡
- 郷土の森博物館(府中市):大賀ハスなど見どころ多数
- 藤子・F・不二雄ミュージアム(川崎市):多摩川右岸から近い
- 羽田空港(大田区):飛行機の離発着を間近で見られる
走りながら味わうグルメスポット
ランニング後の楽しみとして、コース周辺のグルメスポットも要チェック:
- つけめん桜坂(聖蹟桜ヶ丘)
- 鮎らーめん(二子玉川)
- 博多こくまろ(二子玉川)
長距離走のための工夫
全長53kmの多摩川コースを完走するのは簡単ではありませんが、以下の方法で挑戦してみましょう:
- 分割走行:複数日に分けて走る
- 前半:大田区から調布まで(約25km)
- 後半:府中から羽村取水堰まで(約28km)
- ワンウェイラン:
- 電車でアクセスポイントまで行き、一方向に走って別の駅で終了
- 例:二子玉川駅→丸子橋→六郷土手駅(約10km)
- リレー形式:
- 友人と一緒に区間を分担して走る
- 合流ポイントで引き継ぎながら全コースを制覇
多摩川ジョギングコースは、単に走るだけでなく、自然、歴史、鉄道、グルメなど様々な楽しみ方ができます。季節や時間帯、コースの組み合わせを変えることで、何度走っても新たな発見があるでしょう。ぜひ自分だけのお気に入りコースや楽しみ方を見つけてください。
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